
室町、幕末、近代まで。
歴代の情熱家が愛した
西の京
山口県のほぼ中央部に位置する山口市。市域の南端は瀬戸内海に面し、北端は中国山地が連なる、南北に細長い地形が特徴です。
山口県庁も所在する中心市街地はかつて「西の京」として栄え、美人の湯として人気を集める「湯田温泉」は幕末、維新の志士の交流の場となりました。
歴史・文化が息づく観光資源に恵まれながらも、良い意味でオーバーツーリズムとは無縁のコンパクトな都市であることが評価され、
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき52カ所」の3番目に選出。
世界中から熱い注目を集めています。
最寄りの「山口駅」「湯田温泉駅」へは、新山口駅から在来線で約30分。
春~秋の週末には「SLやまぐち号」も走りますから、汽笛の音を耳に、ゴトゴト揺られて降り立てば、旅情がぐっと深まるはずです。
歴史・伝承
最盛期は本家・京都越え
大内氏が残した美しき文化
大内氏が残した美しき文化
碁盤の目のように張り巡らされた大路・小路。趣のある古い町家に、祇園祭が夏の訪れを告げる八坂神社。街の西側に流れる一の坂川は、春は川岸に桜が咲き誇り、初夏はゲンジボタルが乱舞する。少し足を伸ばせば「非の打ち所がない」と賞された国宝瑠璃光寺五重塔に、国の名勝である雪舟の庭園。そぞろ歩きで、数々の美しき日本の文化に触れられる、ゆったり歴史の息吹を感じられる。それが、西の京・山口市の魅力です。
そもそも山口市が西の京と呼ばれるようになったのは周防・長門の守護大名・大内氏の当時の当主・大内弘世(ひろよ)の一大街づくりプロジェクトによるもの。時の室町将軍・足利義詮に謁見するために上洛した弘世は、京の都の素晴らしさに感銘を受け、山口に京都をつくる!と決意。まず京都盆地に似た現在の山口市中心部に本拠地を移転し、街を縦横に区割りして街路名を大路・小路と名付けました。さらに京の八坂神社や北野天満宮を勧請。一の坂川を鴨川に見立て、宇治から取り寄せたゲンジボタルまで放流したのです。ちなみに現在も川に生息するゲンジボタルはその子孫だとか。
弘世の京都リスペクトは後の代まで受け継がれ、やがて「大内文化」といわれる独自の世界観を確立。室町末期は、応仁の乱の戦火によって荒廃した本家・京の都を凌ぐほどの隆盛を極めたといわれています。
江戸時代の幕末には、薩長を中心とする多くの志士が倒幕の密談を行うためにこの地に集結。京都同様、明治維新を語る上で外せない場所となりました。
日本屈指の文化遺産が残り、時代の転換期の舞台となった西の京。世界的に影響を持つ新聞社に“ぜひ行くべき”と言わしめたその理由、わかりますよね。
大内文化の最高傑作と評され、京都の醍醐寺五重塔などと共に日本三名塔の一つに数えられる「瑠璃光寺五重塔」。
70年ぶりに檜皮葺屋根の葺き替えが行われ、美しい姿がよみがえりました。
日没から夜間はライトアップも。
瑠璃光寺の周辺一帯に整備され園内には、幕末に毛利敬親公が討幕の策を練ったといわれる露山堂(ろざんどう)や薩長連合の志士が集った枕流亭(ちんりゅうてい)などの史跡、毛利家の墓所、大内弘世や雪舟の像などが点在。
梅、桜、つつじ、紅葉の名所として四季折々風情のある景色が楽しめます。
フランシスコ・ザビエルの布教活動を許可するなど大陸の文化も積極的に取り入れた大内氏。
1552年には日本で最初に祝われたクリスマスとされる「降誕祭」も行われました。
現在では「12月、山口市はクリスマス市になる。」をコンセプトにしたイベントを実施。
温泉リゾート
幕末の志士も足繁く通った
白狐づくしのまちなか温泉
白狐づくしのまちなか温泉
「白狐が傷を癒した」という伝説が残る湯田温泉。京の都と同じように風水を街づくりに取り入れた大内氏は、自身の館から西の方角にある湯田を西の守りと位置づけ、日本にいない虎ではなく西の守護神・白虎(びゃっこ)と読み方が同じ白狐(びゃっこ)を神仏の使いとしました。
1日2,000トンがこんこんと湧く豊富な湯量を誇り、柔らかく肌にしっとりと馴染む無色透明のアルカリ性単純泉はお肌がすべすべになる「美肌の湯」として人気。ホテルや旅館など宿泊施設も多く、温泉だけ利用できる立ち寄り湯や無料の「足湯」や「手湯」「飲泉」も点在しています。地元の人たちも頻繁に利用しているので、共にお湯で癒やされれば、なかなか知り得ない耳寄り情報がゲットできるかもしれませんよ。
そんな湯田温泉のもうひとつの顔は、昔も今も昼夜を問わず賑わう山口市随一の繁華街であること。江戸末期には高杉晋作や伊藤博文、坂本龍馬といった幕末の志士が頻繁に訪れ、酒盛りしながら日本の未来について語り合っていたとか。集合場所の一つであった旅館は今も健在。幕末の志士たちのゆかりの地を訪ね、のんびり湯に浸かり、お酒を嗜みながら、「日本の歴史を築いた人物たちは、どんな未来を描いていたんだろう」と、思いを巡らせてみてはいかが。
湯田温泉出身の井上馨の生家(※現在の井上公園)に増築された幕末の公卿・三条実美たちの寄宿舎「何遠亭」も再現されており、無料の休憩スペースとして開放されています。
足湯は温泉内に計7カ所。駅前の足湯では、湯に浸かりながら「SLやまぐち」号の迫力ある姿が間近に見られます。
足湯田温泉駅でお出迎えしてくれる巨大な白狐のゆう太くんをはじめ、スイーツやお土産、マンホールから郵便ポストまで、湯田温泉は白狐づくし。
湯田温泉を訪れたら、お土産や食事のお店選び、街歩き情報を提供してくれる観光回遊拠点施設「狐の足あと」へ。
館内には足湯やカフェも併設。
アート
中也、雪舟、山頭火
今なお人気の文化人の面影を訪ねて
今なお人気の文化人の面影を訪ねて
“ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん”というオノマトペが印象的な『サーカス』や『汚れちまった悲しみに……』などで知られる、詩人・中原中也は湯田温泉の生まれ。30年という短い生涯を閉じるまで、今なお色褪せることなく人々の心に深い余韻を残す350篇以上の詩を綴りました。中也の生家・中原医院跡地に建てられた「中原中也記念館」は自筆の草稿や日記などの遺品を通じて、中也の素顔に触れられる貴重なスポット。歩くことが好きだったという中也に倣って、詩の一部を刻んだ「詩碑」を巡りながら、さやかに風が吹く彼の故里(ふるさと)を堪能しましょう。
湯田温泉といえばもうひとり、通りに名を残す漂泊の俳人・種田山頭火。温泉好きの山頭火は湯田温泉をとくに気に入り、一時期居を構えて句作を続けながら、酒と湯を楽しみました。中原中也の生家にも出入りし、弟たちと親交を深めていたとか。湯田温泉を詠んだ多くの句のなかでも錦川通りの句碑に刻まれた俳句は、山頭火らしく実に自由でユーモラス。ここでは紹介できませんので、お見逃しなく!
大内氏の庇護を受けて山口に移住し、その後は同地を拠点として活動した雪舟をはじめ、山口にゆかりある作者の作品を数多く所蔵する山口県立美術館も必見です。
グルメ
伝統の味から最新ソウルフードまで。
味わい深いグルメが満載。
味わい深いグルメが満載。
大内氏・毛利氏の歴代の殿様にも愛された、わらび粉仕立てのぷるぷる「外郎(ういろう)」、西南の役の際、熊本城を囲む薩摩軍の兵士たちが野菜や肉などを瓦で焼いて食べていたことから考案されたといわれる「瓦そば」など、歴史と色濃く結びついたグルメをはじめ、山口市では郷土色豊かなおいしい逸品が揃います。
特に味わってほしいのが、瀬戸内海と日本海両方の海に面している山口県の地の利を生かした海の幸です。なかでもサザエは漁獲量が全国2位という日本屈指の産地。海鮮料理のお店に入ったら迷わず注文しましょう。ちなみに、サザエの殻のツノが尖ってゴツゴツしていれば日本海産、ツノの部分が小さく丸ければ瀬戸内海産。知っておけば、出された瞬間「今日は日本海モノですね」とサザエ通を気取れるかも。
海産物つながりでいえば、刻んだ干しわかめをまとわせた「わかめむすび」も古くから愛されている郷土料理の一つ。刻みわかめは軽くて携帯しやすいのでお土産にするにもぴったりですよ。
最近、山口のソウルフードとしての地位を確立し、学校給食でも提供されているのが「ばりそば」。揚げた太めの中華麺に、ほんのりとろみをつけた野菜たっぷりの鶏ガラベーススープをかけた麺料理で、最初はバリバリ、最後はつるんと変化する食感と満点のボリューム感が魅力です。食べるときは酢または酢醤油、ポン酢醤油などをかけるのが正解。一般的な皿うどんとは別物なので、お間違いのないように。
当モールでも、山口県産のフルーツを使った果実酒など、さまざまなご当地商品がありますので、ぜひご覧ください。
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